野矢茂樹(2001)『論理トレーニング101題』産業図書

野矢茂樹(2001)『論理トレーニング101題』産業図書を読んだ。

揚げ足をとりやがって,と思われるだろうか。確かにそういう面はある。そこで,私が授業で機会あるごとに学生に言っていることを,最後に述べておきたい。
論理トレーニングの成果は,親,兄弟,友人,恋人,そしてとりわけ配偶者に対して無分別に発揮してはいけない。初心者がうかつに論理的分析力を発揮して批判すると,少なくとも現在の日本社会においては,人間関係を損ねるおそれがある。刃を研ぎ澄まし,懐中に忍ばせておく。そして,ここぞというときに抜くのである。どういうときが「ここぞ」なのか。残念ながら,本書はそこまでめんどうを見ることはできない。読者諸氏のご自愛を願ってやまない。

これが真実だと思う。