D.A.ノーマン(1990)『誰のためのデザイン?認知科学者のデザイン原論』(野島久雄訳)新曜社

D.A.ノーマン(1990)『誰のためのデザイン?認知科学者のデザイン原論』(野島久雄訳)新曜社を読んだ。

乗っ取り型エラー capture errors

複写機を使っていて,枚数を数えていたときのことです。気がつくと,「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,ジャック,クイーン,キング」と数えてしまいました。最近,トランプをやったばかりだったんです。

記述エラー description errors

かつて私のところにいた学生が報告してくれたことである。ある日彼は,ジョギングから帰ってきて,汗くさくなったシャツをボールのようにまるめて洗濯物入れに投げ込もうとした。しかし,彼はそれをトイレの便器に投げ入れてしまった(投げそこなったわけではない。洗濯物入れとトイレは別の部屋にあったからだ。)。

データ駆動型エラー data-driven errors

お客さんのために部屋を割り当てていたときのことでした。その部屋の番号を学部の秘書に伝えておこうとおもいました。それで,部屋の外の廊下の片隅にある電話から,部屋番号を目で見ながら電話をかけました。ところが,よく使っているので間違えるはずのない秘書の電話番号をまわすかわりに,その部屋番号をまわしていたんです。

連想活性化エラー associative activation errors

オフィスの電話が鳴ったので、受話器を取り上げてそれにむかって,「どうぞお入りください」とどなってしまいました。

活性化消失エラー loss-of-activation errors

食堂で仕事を始める前に寝室に行く用事があったので,歩き出したのですが,ふと,いったいなぜ寝室に向かっているんだろうと思いました。寝室につけばなにか思い出すだろうと思って歩き続けました…で,寝室には行ったんですが何をしようと思っていたのかはちっとも思い出せません…それでまた食堂まで戻りました。戻ってやっとわかりました。眼鏡が汚れていたのです。ほっとして,寝室に戻りハンカチを取り出してレンズをきれいにしました。

モードエラー mode errors

その日,大学からずっと走ってきて家に着いたとき,これはいままでで一番速い記録になったと確信していました。そのときにはもう薄暗くなっていたので,ストップウォッチの時間を読むことはできませんでした。体を冷やすために家の前の通りを何回か行ったり来たりしているうちに,どれくらい速く走ったのかどうしても知りたくなってきました。そういえば,この時計には組み込みのライトがあって,右上のボタンを押せばいいんだということを思いだしました。わくわくしながら,ライトで文字を読もうとしてボタンを押したのですが,0秒という表示があるだけでした。ストップウォッチモードのときには,その(時刻表示モードではライトをつけるはずの)同じボタンが,ストップウォッチの時間をクリアーして0にリセットするということを忘れていたんです。