オードリーのNFL倶楽部(2018)『オードリーのNFL倶楽部 若林のアメフト熱視線』文藝春秋

 オードリーのNFL倶楽部(2018)『オードリーのNFL倶楽部 若林のアメフト熱視線』文藝春秋を読んだ。主は,テレビ番組「オードリーのNFL倶楽部」のコーナー「若林の熱視線」27回分の文字起こしとなっている。

 しかし,本書で追加された部分のほうが面白く,また,日本におけるアメリカンフットボールに対する取り扱われ方を的確に表現している。

春日 私には試合のときだけ着用する特別なTシャツがありました。なぜかは説明しがたいのですが,胸の乳首の部分だけ穴があいていて,ショルダーの下にそのTシャツを着て試合に臨むと,妙に集中力が増すんです。いわば,ゲン担ぎのようなものでしょうか。

 ショルダーの下なので,他人にばれることはないのですが,こんなTシャツを着て真剣にプレーしている状況が自分のテンションを上げる。秘密を抱えながら試合をしているというか,バレるはずはないけど,万が一バレたらどうしようというスリルが集中力を一段引き上げていたのかもしれません。

春日 スーパーボウルを生で観られる日が来ようなんて,夢にも思っていなかったから心待ちにしていたのに,出発の2週間前くらいに足の骨を折ってしまいました。ぱっと足を見たら,足首があさっての方向に向いていたんですよ。その瞬間によぎったのは,「やばい。スーパーボウルに行けなくなるかも」ということでしたね。とっさに足首を正しい方向に自分で戻した。今のなし,リセットボタンみたいな(笑)。

 病院に行ったら,手術が必要だと。当時*1は「ブーム」だったので,毎日のようにお仕事が入っていて,CM撮影などデカい案件もあったから,マネージャーはそちらを心配するわけ。でも私は2週間後のスーパーボウルに間に合うかどうか。それしか頭になかったですね。病院の先生に「アメリカに行かなければいけないのですが,大丈夫ですか?」と聞いたら「うーん,飛行機は気圧の関係で痛むかもしれませんねぇ」と言われた。そういうことであれば,自分が耐えればいいだけの話だから。結果,マイアミにたどり着くことが出来たわけです。

 夜に空港に着いて,若林くんに車椅子を押してもらいながら,海沿いの一番盛り上がっているエリアにコルツ*2のジャージを着てロケに行くと,セインツ*3ファンにすごくいじられまして。「お前はコルツファンだから,怪我をするんだ」と。

若林 あの時は確かフリーニー*4(コルツ)も足を怪我していたんだよな。それをネタに,春日が「アイム・フリーニー」みたいなことを言ったんだけど,全くウケていなかった。

若林 2017~2018シーズンでは,トランプ大統領の問題もあって、NFLが報道ニュースに取り上げられる機会も多かったね。試合前の国歌斉唱を巡って,トランプ大統領ツイッターで物議を醸した。もともとNFLでは人種差別への抗議の意味を込めて,国会斉唱の際に選手が膝をつくことがあったのですが,それをトランプ大統領が批判したんだよね。「国会斉唱の際に起立しない選手がいた場合,オーナーはその選手をクビにすべきだ」と。

春日 このニュースを知った時,私は悲しみましたよ。国歌斉唱の件は,普通の報道番組でも取り上げておりましたが,NFLがニュースになる時って,だいたい悪い話題ですからね。第51回スーパーボウル(2017年)のように,世紀の大逆転劇*5ですらニュースにならないのに,選手が国歌斉唱で膝をついただとか,ジャネット・ジャクソンがポロリした*6だとか,そんなことばかり(笑)。マイナスな側面で注目されるのは,私としては残念というか不本意ですよ。

若林 別にお前が報道のテンションで語らなくていいんだよ(笑)。

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*1:2010年2月頃。

*2:インディアナポリス・コルツ

*3:ニューオーリンズ・セインツ

*4:ディフェンシブエンドのドワイト・フリーニー。

*5:ニューイングランド・ペイトリオッツアトランタ・ファルコンズニューイングランド・ペイトリオッツは,第3クォーター6分29秒経過(残り8分31秒)時点で3-28,第3クォーター12分54秒経過(残り2分6秒)時点で9-28(タッチダウン後のトライ(キック)に失敗),直後のオンサイドキックに失敗していた。しかし,ファルコンズの攻撃がパントで終わると,第4クォーター5分16秒経過(残り9分44秒)時点で12-28,第4クォーター9分4秒経過(残り5分56秒)時点で20-28,第4クォーター14分3秒経過(残り57秒)時点で28-28,スーパーボウル史上初オーバータイム突入,最終的には,オーバータイム3分58秒経過(残り11分2秒)時点で34-28と逆転勝利した。

*6:2004年2月第38回スーパーボウルのハーフタイムショー。