丘浅次郎(1904)『進化論講話』開成館

丘浅次郎(1904)『進化論講話』開成館を読んだ。

人間には筋肉の発達に種々の相違がある通りに、知力の発達にも数等の段階があって、万人決して一様ではない。角力取りが軽そうに差し上げる石を、われわれが容易に持ち得ぬ如く、またわれわれの用いる鉄亜鈴を幼児がなかか動かし得ぬ如く、物の理屈を解する力もその通りで、各人のその有する知力相応な事柄でなければ了解することはできぬ。それゆえ理学上の学説の如きはいかに真理であっても、中以下の知力を備えた人間にはとうてい力に適せぬゆえ、説いても無益である。