令和3年2月12日読売新聞
森喜朗氏*1が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」などと女性を蔑視する発言を行ったとされる件について,読売新聞の朝刊を読むと「女性」を日本ラグビー協会*2の理事まで絞り込めて,夕刊も読むと個人まで特定できる仕組みとなっている。
朝刊25面。
森氏が,3日に行った発言の要旨は以下の通り。
女性理事を選ぶというのは,日本は文科省(文部科学省)がうるさく言うんでね。だけど,女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。(日本)ラグビー協会*3,今までの倍,理事会に時間がかかる。女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手を挙げて言われると,自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言するんです。前の発言者に続いて,思いのままどんどん言われていく。
あんまりいうと,「また森が悪口言った」となりますけど,女性の数を増やしていく場合は,発言の時間もある程度,規制を何かしておかないと,なかなか終わらないで困ると言って(いた)。誰が言ったか言いませんけど。
組織委員会にも女性(理事)は7人*4くらいおられますが,みんなわきまえておられて。競技団体の出身であり,国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですから,話も的を射た発言をされて,非常に我々は役立っております。
夕刊11面。
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」。森氏は,3日に日本オリンピック委員会(JOC)の会合でした不適切な発言の中で,女性理事が増えた日本ラグビー協会を例に挙げていた。同協会の理事で,ジェンダー法などが専門の法学者,谷口真由美さん(45)に話を聞いた。
11日に森氏が辞任する意向を固めたことについて,「この1週間で傷口を広げた印象」と指摘。発言翌日に記者会見して謝罪したが,それで幕引きを図れると考えた節があるし,「女性蔑視が国際的にどう受け止められるか分かっていなかった」と話した。
谷口さんは2019年6月,同協会の女性理事が5人に増えた際に就任した。組織改編したのは,直前まで名誉会長だった森氏だったという。
組織委員会長の後任には川淵三郎氏の名が挙がっている。谷口さんは「新しい顔にすげ替えて終わりではいけない。森さんだけの責任にすると本質を見誤る」と警告し,問題発言の検証と,再発防止の研修実施などを求める。「誤った価値観を組織として改め,いまだに残る性差別構造を変えてもらいたい」と注文を付けた。