ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編(2014)『世界の経営者が愛読するハーバード・ビジネス・レビューBEST10論文』DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部訳,ダイヤモンド社

ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編(2014)『世界の経営者が愛読するハーバード・ビジネス・レビューBEST10論文』DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部訳,ダイヤモンド社を読んだ。

「マネジャーの仕事」を読むと,マネジャーの役割には,対人関係における役割,情報に関わる役割及び意思決定に関わる役割がある。さらに,対人関係における役割には,看板的役割,リーダー的役割及びリエゾン的役割,情報に関わる役割には,監視者としての役割,散布者としての役割及びスポークスマンとしての役割,意思決定に関わる役割には,企業家としての役割,妨害排除者としての役割,資源配分者としての役割及び交渉者としての役割がある。次の点を意識する必要がある。

  • 情報をどこで,どのようにして入手するか。交際関係を活用できないか。だれかほかの人が,自分の調査のいくぶんでも肩代わりしてくれることは可能だろうか。自分の知識に弱点があるとすればどの分野だろうか。また,どうすれば必要な情報を集めてくれる人を獲得することができるだろうか。組織のなかと,周辺環境において,理解しなければならないことを十分に把握できるメンタル・モデルを持っているだろうか。
  • 組織内でどのような情報を発信しているだろうか。部下が私の情報を入手するということが,どの程度,重要なことだろうか。情報を伝達することは時間もかかり,面倒なことでもある。そのために情報を手元に置きすぎていないだろうか。どうすれば,ほかの人が,よりよい決定ができるように,より多くの情報を与えることができるだろうか。
  • 情報収集と行動のバランスが取れているだろうか。情報が入る前に行動しがちではないか。あるいは,すべての情報が揃うのを待ちすぎて機会を逸し,それが組織のネックとなっていないだろうか。
  • 変革のペースがどの程度であれば私の組織は許容できるのだろうか。この変革が,我々の業務遂行を過度にストップすることも,無茶に分裂することもないようにバランスが取れているだろうか。我々は,この変革が組織の今後に与える影響について十分に分析しているだろうか。
  • 部下の提案について判断を下すのに十分な情報を得ているだろうか。提案の最終決定権をもっと部下に持たせることが可能だろうか。部下が事実上,あまりにたくさんの決定を相談せずに下すために,その調整上の問題を抱えていないだろうか。
  • 私の描く組織の将来像は何か。計画は,そもそも漠然としたかたちで自分の頭にあるものなのか。自分以外の人がする意思決定をうまく誘導するために,計画をもっと明確にすべきではないか。それとも,計画を自分の意のままに変更できる柔軟性が,私には必要なのだろうか。
  • 私のマネジメント・スタイルに部下はどのように反応するだろうか。私の行動が部下に与える強力な影響力について,十分わきまえているだろうか。私の行動に対する部下の反応を完全に理解しているだろうか。励ましと抑圧の間で適切なバランスが取れていると思うか。部下の独創性の芽を摘んでいないか。
  • どのように外部との関係を保持しているだろうか。そして,それをどのようにやっているか。この関係を保つのに時間をかけすぎているのではないか。さらに理解を深めたほうがよいタイプの人がいるだろうか。
  • スケジュールづくりにきちんと筋道が立っているだろうか。それとも,ただその時々の状況に合わせて反応しているだけではないか。自分の行動に適切な組み合わせがあると思うか。あるいはただ興味に任せて,特定の部門とか,ある種の問題に集中する傾向はないか。特定の仕事については,一日のうち,あるいは週のうちで,あえて時間を割いたほうがずっと能率が上がるだろうか。私のスケジュールはこのことを反映しているだろうか。だれかほかの人(自分の秘書だけでなく)がスケジュールづくりの多くについて,責任を持って,しかも系統立ててやってくれているだろうか。
  • オーバーワークではないか。業務量が自分の能率にどのような影響を与えているだろうか。無理にでも休憩を取ったり,仕事のペースを落としたりすべきだろうか。
  • やり方が上滑りになりすぎていないか。仕事の進捗に合わせて,素早くかつ頻繁に気持ちの切り替えができているだろうか。仕事が断片的になったり,邪魔が入ったり,また量を減らす努力をしたりすべきだろうか。
  • いま起こっている具体的な業務にのめり込みすぎていないだろうか。仕事の動きと面白味にとらわれてしまって,案件に集中することができなくなっているのではないか。重要な問題に,必要なだけの注意が払われているだろうか。読書をして特定の案件について深く探ってみることにもっと時間を使うべきだろうか。もっと内省的になれるだろうか,あるいは内省的になるべきだろうか。
  • 異なるメディアを適切に使っているか。文字を使ったコミュニケーションを,できるだけ利用する方法を知っているか。フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションに頼りすぎて,数人を例外として,全部の部下を情報面で不利な立場に置いていないか。自分の会合予定は定常的になっているものが多いか。自分の組織を回って自分の目で活動状況を見るのに十分な時間を使っているか。物事を抽象的にしか見ないために,組織の動きの中心から外れすぎていないか。
  • 自分自身の権利と義務をどのようにバランスしているか。当然やらなければならないことで,自分の時間は全部消えてしまっているか。組織を自分の思う方向に確実に持っていくために,どうすれば義務から解放されるか。どうすれば義務を自分のためになるように転化できるだろうか。